着物シーズンに送る、男着物の裏物事情
着物の世界は、見た目の美しさや格式だけでなく、裏に隠されたディテールや工夫にこそ、着る人の美意識や粋が宿るものです。特に男の着物となると、その「裏モノ事情」は女性とは大きく異なり、知れば知るほど奥深い世界が広がっています。今回は、男の袷(あわせ)着物の裏地事情を中心に、山形の男着物文化も交えながらご紹介します。
男の着物と裏地の基本

男物の袷着物は、表地と裏地が異なる二重構造になっています。表地は季節やTPOに合わせて選びますが、裏地にもさまざまな種類とこだわりがあります。
男性の袷着物の裏地は「通し裏」が主流です。これは、胴裏(どううら)と八掛(はっかけ/裾や袖口の裏地)を接がずに、並幅の裏地で裏全体を仕立てる方法。高級品では羽二重(はぶたえ)が使われることが多く、一般的には正花(しょうはな)という木綿の生地も用いられます。
女性用の着物では、胴裏と八掛を別々の生地で仕立てることが多いですが、男性用は通し裏が多いため、表と裏の釣り合いが取りやすく、仕立ての際のつれやだぶつきが出にくいというメリットがあります13。
八掛と裏地の素材選び

八掛は、着物の裾や袖口に付ける裏地部分。男性着物の場合、表地の素材や色に合わせて八掛の素材や色も選ぶ必要があります。たとえば、紬(つむぎ)の着物には紬地の八掛、羽二重の着物には羽二重の八掛を合わせるのが基本。これにより、着物全体のバランスや耐久性が保たれます1。
男性着物の裏地事情 「通し裏」と「裏勝り」

男の着物の裏地事情で特筆すべきは、「通し裏」と呼ばれる仕立て方です。これは、裏地が一枚の生地で全体を覆うため、見た目にもすっきりとした印象を与えます。また、仕立てが比較的簡単で、着心地も良いのが特徴です。
一方で、男の着物文化には「裏勝り(うらまさり)」という美学があります。これは、江戸時代の奢侈禁止令(しゃしきんしれい)によって表地の贅沢が制限された際、人々が裏地にこだわり、見えない部分にこそおしゃれを楽しむようになった歴史的背景に由来します。
羽織の裏地(羽裏・額裏)は、まさにこの「裏勝り」の象徴。普段は見えない裏地に、豪華な絵柄や遊び心を忍ばせることで、大人の粋を表現します。羽裏には正絹や化繊などさまざまな素材があり、墨絵や和柄、時にはポップな洋柄まで、好みに応じて自由に選ぶことができます。
羽織の裏地 男だけの隠れたおしゃれ

羽織の裏地は、着物の中でも特に「裏勝り」の精神が強く現れる部分です。
「羽裏(はうら)」は反物状の生地を使い、背中で縫い合わせるのが特徴。一方「額裏(がくうら)」は、羽織専用のサイズで絵柄を大きく描いたもので、背縫いがなく、脱いだときに一枚の絵のように見えるのが魅力です。
この羽織の裏地にこだわることで、普段は見えない自分だけの美意識や遊び心を表現できるのが、男着物の醍醐味。
江戸時代から続く「見えない部分にこそ粋を宿す」という文化は、現代の男着物にも受け継がれています4。
山形の男着物――表地の産地としての誇り

山形県、特に米沢地域は、男着物の表地生産で全国的に有名です。米沢紬(よねざわつむぎ)や紅花染めなど、伝統的な織物や染色技術が息づいており、男着物の表地として多くの愛好家に支持されています。
山形の男着物は、質実剛健な風合いと、落ち着いた色合いが特徴。表地だけでなく、裏地にもこだわることで、着る人の個性や美意識をさりげなく表現できます。
地元の呉服店や専門店では、着物の仕立てやお手入れ、裏地選びまで丁寧に相談に乗ってくれるため、初心者でも安心して男着物デビューが可能です1。
着物裏地の選び方とお手入れ

男の着物の裏地選びは、素材や色、仕立て方だけでなく、着用シーンや季節も考慮する必要があります。正絹の羽二重は滑りが良く高級感があり、木綿は普段着やカジュアルな着物に最適です3。
また、裏地は直接肌に触れる部分も多いため、こまめなお手入れが大切。山形の老舗呉服店などでは、オンラインでの着物お手入れ相談も受け付けており、しみ抜きや仕立て直しなど、専門家のアドバイスを気軽に受けられます1。
男の着物裏地にこそ宿る粋

男の着物は、表のシンプルさの中に、裏地や羽織裏で自分だけのこだわりや遊び心を表現できるのが最大の魅力です。「裏勝り」の精神を受け継ぎ、見えない部分にこそ美意識を込める――それが男着物の奥深さであり、現代にも通じる日本の粋な文化です。
山形の男着物は、伝統の技と現代のセンスが融合した逸品。表も裏も、細部にまでこだわることで、着物を着る楽しみが何倍にも広がります。ぜひ、裏地の世界にも目を向けて、あなただけの一着を仕立ててみてはいかがでしょうか。着物の表も裏も、そして着る前も着た後も、専門店がしっかりサポートしてくれますので、安心して男着物の世界に飛び込んでみてください
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