着物の縫い糸って実は寿命があるんです
うちの店で着物のお手入れフェアを開催すると、いろんな時代に作られた着物を拝見します。21世紀になってからご用命いただいた着物は、まだまだ若い方です。平成の着物はもちろん、ややもすると普通に昭和の時代に作られた着物がやってきます。昔の生地というのは、今の時代と比べてややしっかりしているように感じます。昔のものにはいいものが多い、うちのかみさんはよく、そういいます。
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布施弥七京染店の専務 布施 将英(@meibutsu_senmu)のブログです。今日は着物の縫い糸について描いてみます。
車に車検があるように、着物も20数年で車検が必要
私は昭和47年生まれです。その頃に作った着物をお持ちいただくこともあります。着物を仕立ててから、40数年が経過しているということです。着物自体にダメージはなくとも、今まで何回か着てついてきた古いシミや、変色・ほつれなどが大なり小なりあるはずです。そしてなかなか気にならない点ですが、実は着物の縫い糸に大きな問題が出ています。
着物自体、お手入れの環境が良ければ、親子三代にわたって着ることができます。しかし、着物を縫う縫い糸の寿命は、20年から30年。私が生まれた時に作った着物であれば、さすがにもう着物の縫い糸がキャパシティオーバー。その着物をたくさん着ていようが、一回しか着ていないとしても、仕立て直しの時期を迎えているということです。いわゆる縫い糸の経年劣化です。
こんな風にして、解いていきます。
この風景は紬の着物を解く動画です。外国の方にもこういう動画だと伝わるかなぁと、単焦点レンズを使って動画を作ったものです。
この場合は、洗い張り仕立て直しという作業になります。一度着物を全部解いて、元々の反物状態に戻し、水の中に入れて洗います。この作業を洗い張りと言います。そしてお客様の現在の寸法に一番アジャストするように塗り直して、まるっきり新しい着物に生まれ変わるというわけです。
またこの段階でよく頂戴する仕事が、染め替えというものになります。昭和47年あたり、嫁入り道具の無地として、とっても鮮やかな紺色・ au のようなオレンジの無地・ぺこ&りゅうちぇるのようなピンクなどなど、今ではなかなかないような、鮮やかな色がたくさんありました。その色をそのままで着ようと思うと、なかなか抵抗があります。なのでこの洗い鍼をした後に、お客様のご希望の色に染め変えることが可能です。
そうすれば全く新しいものに生まれ変わり、今から向こう25年切ることができる着物に。こうやってみると着物というのは、大事にすれば50年以上着ることができるんですね。とてもコスパが高いと思います。洋服で50年とか、まずはありえませんからね。気になるお品があれば、お気軽にこちらからお問い合わせください〜☆
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