「奇跡の織物」が山形にやってくる——喜如嘉の芭蕉布展、着物屋のテンションが上がらないわけがない

人間国宝の技が息づく、日本一手間のかかる織物が、この夏山形にやってまいります。沖縄・喜如嘉の芭蕉布、その本物を東根「まなびあテラス」で見られる機会は、着物屋としても本当に楽しみにしております。開館10周年と重要無形文化財指定50周年が重なった、まさに奇跡のようなタイミングです。今回は展示の見どころに加えて、喜如嘉芭蕉布の平良美恵子さんとの貴重なご縁についても、あわせてお伝えできればと思います。

■ 奇跡の織物、山形へ

沖縄・喜如嘉(きじょか)の芭蕉布。人間国宝の技によって生み出される、日本一の手間と時間を要すると言われる織物です。この夏、東根市の「まなびあテラス」で、その本物に出会うことができます。開館10周年、そして重要無形文化財指定50周年という節目が重なった、大変貴重な機会となっております。

今回、私自身もばあちゃんの麻織物の着物姿で、イベント紹介動画に出演させていただきました。もちろんまなびあテラス様にはしっかりと許可をいただいての宣伝でございます(笑)。着物屋という商売をさせていただいている以上、こうした本物の文化財に触れられる機会は、ぜひ大切にしたいと思っております。山形に暮らしながら、これほどの芭蕉布展を体験できることは、なかなかない幸運ではないでしょうか。

■ 一反に一年、糸の物語

芭蕉布とはどのような織物なのでしょうか。糸芭蕉という植物の繊維から糸を績み、機にかけて一反一反丁寧に織り上げていきます。反物一反を仕上げるのに、実に一年以上を要すると言われております。沖縄の強い日差しと湿度の中で育つ糸芭蕉から、人の手だけで糸を取り出し、撚り、織り上げていく。機械化が進んだ現代においても、この工程だけはどうしても人の手でなければできません。だからこそ「奇跡の織物」と呼ばれているのだと思います。着物という文化に携わる者として、この手仕事の重みに触れますと、自分たちが日々扱わせていただいている一枚一枚の着物への向き合い方も、あらためて見つめ直されるように感じます。今回の展示では前期と後期でそれぞれ異なる内容をお楽しみいただけますので、着物ファンの皆様にとっては、二度楽しめる贅沢な企画となっております。じっくりと両方をご覧いただくことで、喜如嘉の芭蕉布の奥深さがより一層伝わってくることと思います。

■ 会期・料金のご案内

会期は2026年7月18日(土)から8月30日(日)までとなっております。会期中に展示替えがあり、前期展は7月18日から8月9日まで、後期展は8月11日から8月30日までです。休館日は7月27日、8月10日、8月24日の月曜日となっております。開館時間は午前10時から午後6時まで、最終入場は午後5時30分までとなっておりますので、どうぞ時間に余裕をもってお出かけくださいませ。

会場はまなびあテラスの特別展示室・市民ギャラリーABです。観覧料は半期券が500円、通期券が数量限定で800円、高校生以下は無料となっており、ご家族連れでも気軽にお立ち寄りいただけます。所在地は山形県東根市中央南1丁目7−3、電話番号は0237-53-0230でございます。東根まで足をお運びいただく価値は、十分すぎるほどある展示だと感じております。

■ 平良さんとのご縁

今回の展示開催にあたりまして、忘れられない出来事がございました。沖縄・喜如嘉芭蕉布の平良美恵子さんとご縁をいただき、山形観光をアテンドさせていただく機会に恵まれました。平良さんを庄内の着物屋さんへお連れし、そちらでトークショーを開催させていただきました。人間国宝の技を受け継がれる方のお言葉を、間近で、しかも山形の地でうかがえたことは、着物屋として本当に幸せな経験でした。

糸を績む苦労、織り上げるまでの時間、沖縄の風土と芭蕉布の関係。教科書やパンフレットだけでは伝わってこない、生のお言葉の重みがそこにはございました。この時の様子は動画にも収めておりますので、よろしければぜひあわせてご覧くださいませ。展示だけでなく、こうした人との出会いも含めて、この夏の芭蕉布企画は、私にとって特別なものとなっております。

■ この夏、東根へぜひ

着物という文化は、作り手の方々の手仕事があってこそ成り立っているものだと、あらためて感じております。喜如嘉の芭蕉布展は、その原点を思い出させてくれる、大変貴重な機会です。前期・後期とぜひ二度お運びいただき、時間をかけて糸から織り上げられる本物の織物と、ゆっくり向き合っていただければと思います。山形にいながらにして、これほどの文化財に出会えますことに感謝しつつ、この夏はぜひ、まなびあテラスへ足をお運びいただければ幸いです。

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