羽生結弦さんが国民栄誉賞受賞の際に着用した人間国宝の袴

先日の羽生結弦さんの国民栄誉賞受賞は、素晴らしいニュースでしたね。


地元仙台の国民的、いや、世界的大スターの国民栄誉賞は、素晴らしい吉報のニュースでした。やはり礼節を重んじる羽生結弦さんは、安倍総理の前に出向く際に紋付袴姿で登場という、素晴らしい第一礼装の出で立ちでした。

羽生結弦さんが着た「仙台平」の袴とは? 国民栄誉賞の授与式で披露

(ハフィントンポストより転載)

個人的にこのポストを見てとても羽生結弦さんの心意気を感じたのは、半襟が白になっていること。結構見落とされがちですが、一番礼装度合いの高い黒紋付でも、この半襟の色が白になると、一番礼装度合いの高い状態を表します。羽生結弦さんの気持ちを感じた次第です。

こちらをお届けするのは、地元で着物専門店を営む
布施弥七京染店の専務 布施 将英(@meibutsu_senmu)のブログです。

今回お召の仙台平は、日本最高峰の袴の製作者「人間国宝」の作品です。


(朝日新聞さんのポスター記事より)

こちらで着用された袴は、人間国宝の袴をお作りになっている仙台市・甲田綏郎先生の作品です。同郷の羽生結弦さんが国民栄誉賞を受賞とのことで、甲田先生より直々にお譲り頂いたとのこと。仙台同士の愛を感じます。最高の男に、最高峰の商品を作る甲田先生がお品を贈る。とてもロマン溢れる話だなぁと、心から感動する次第です。

では、そもそも、仙台平って何なんでしょう?

仙台平とは、こういう商品です。


そもそも、わたしの住む山形には、全国トップクラスの袴産地としては
米沢も有名では有るのですが品質の良さとして、
全国でトップクラスの商品が甲田先生の作品であります。

仙台平とは、伊達正宗公の奨励によって始められたと伝えられる地場産業で
後に正徳元年(1711)、五代藩主吉村公が京都から小松弥右衛門を招き、
御兵具御蔵人として仙台候御用織物<主として軍服に使った法被>を織らせて
この時、弥右衛門の工夫で一種の袴地を創り出し弥右衛門織と呼び
これが文化年間に仙台平と改称され広く声価を博するようになったそうです。

やがて、幕政時代が終わると民間企業として発展を遂げ、
仙台平と言えば、最高の袴地として仙台市の主要産業となって
明治から大正、昭和初期にかけては製織工場も六ヵ所を数え
年間三万反の量産を誇ったといわれます。

戦後10年、昭和31年(1956)に文化財保護法が制定されるや
国は同31年4月に、手動織機による精好仙台平を重要無形文化財に指定し
榮佑をその技術保持者として認定した。いわゆる人間国宝である。

昭和45年(1970)1月甲田榮佑死去後、嗣子綏郎が継承して技術を伝えており
平成14年(2002)7月、親子二代に渡り重要無形文化財に指定され現在に至っています。

仙台平って何がすごいの?


誤解がないように言いますが、仙台平という名称は、先述したとおりで、昔仙台で沢山袴が作られていたという産地としての名称です。ですから、仙台で作られた袴の総称を仙台平といいます。正直申しまして、現在袴製造を仙台で生業としている方が極小しているために、仙台平が甲田さんのような名称に思われがちですが、仙台平と甲田さんの商品は、似て非なるものです。

つまり、仙台で作られた袴全てが、甲田さんのようなクオリティかというと、全く違うという話です。最も今現在仙台で袴を作る生業の方が極小しているので、イコールのように思われがちですが、そうではありません。甲田さんの技術がすごいんです。

甲田さんの袴の特徴


甲田さんの袴の特徴は、とっても繊細な糸使いにあると思っています。
地元米沢の袴と比べると大きく違う点が二点。

1点目
縦糸の張り具合が随分違う気がします。

とてもしなやかで、柔らかい風合いと
打ち込み・そして柔軟性は袴地として他に類が無く

すわって立ち上がった時、サラリとしわにならず
品位をたもっているのが特徴です。

2点目
これは個人的推測ですが、
使用している糸の太さの違いと、打ち込みの関係だと思います。

米沢の場合、割合しっかりした太い糸で
打ち込み強く織り上げるので、地厚な感じの織り上がりになります。

ですが、甲田さんの袴の場合は、非常になめらかな風合いで
米沢の袴の半分くらいの地厚さ、硬さです。

ふんわりと優しさのある袴です

女性の髪の毛に例えると分かりやすいかもしれません。

髪の長い女性が
とってもお手入れ良く、つや・はりがあり

そこに、極上のリンスを施した感じ

それが、人間国宝・甲田さんの風合いかと思います

コレばっかりは、実際お手に取ってご覧頂かないと
分かりづらいかも知れませんね

でも、ホンモノ中のホンモノが
この、甲田先生の袴です

また、袴のひだにはこんな意味も込められています

本物は、本物を呼ぶということですね。
皆さんにとって、男性の紋付き姿が、
より身近になれば嬉しいです。

羽生結弦さんが着用した袴がコチラ

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今日もお読み頂きありがとうございます
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投稿者について

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山形で江戸時代から続く着物専門店の名物専務こと布施 将英。
着物初心者や、着物を着てみたいけど一歩踏みでない方を後押しできるようなブログを書いています。
趣味である音楽やDJは、1stアルバム好みの音故知新スタイル。また得意な筆ペンで書く「らくがきハガキ」は2011年より毎日投函継続中で、手書きチラシも仕事として制作を請け負っています。
着物の動画も多数放出中で、山形の着物屋さんで最も有名なyoutuber着物屋さん。着物初心者に向け他ものや、着物のお手入れについて、着物の HOW TO動画を多数あげていますので、「布施弥七京染店 動画」で検索してみてください。
読書は、ビジネス書や偉人伝の他、司馬遼太郎先生フリーク。音楽同様に温故知新の1st好き。一番好きな司馬遼太郎先生の作品は「梟の城」。全般的に「心へ静かに日を灯す」司馬遼太郎先生の文章が好きです。
他にも温泉・スポーツ観戦・ゴルフ・お笑い・山形のラーメン・ハイキューに造詣が深い昭和47年生れで、布施弥七京染店のスポークスマンとして県内外にて活躍。Facebook・Instagram・Twitterも随時発信中で、お客様の美姿と健康と思い出作りをお手伝いします。

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